【短】私の夏はもう、
映画を観終えたのは午後2時半。
ふたりして感想をああだこうだ言い合いながら、遅めのランチタイムへ。
外へ出るよりも先に陽射しが目に入る。
目を細めながら前に進めばギンギラギンパラダイスだ。
雲ひとつない晴れた日なのは最高に嬉しいんだけれども
デート日和にはかなり暑すぎだよ……。溶ける。
あー、
「「アイス食べたいー(食いてー)」」
重なった声の主と目が合う。
「ま、アイスもいいけど先にガッツリ食べたいからあそこ入ろ」
とのことで、彼に賛成の意を込めて親指を立ててみせた。
ドアを引くと涼し気な音と共に気持ちのいい風が身を包む。
とても生き返った心地に頬を緩ませていると店員さんが席へと案内された。
「メニューが決まりましたらお声をおかけください」
可愛らしい女の子がそう言う。
たぶん私たちとそんな変わらないな、と心の中で思ってしまったのはいつもの癖で悪い癖。
「まーた、詮索してんの」
「だって、」
「だって、は無し。心配すること何もないから止めろよ」
「……はーい」
メニューに目を通しながら注意をされるのも相変わらずだ。