花丸さんちのしあわせレシピ
呆然自失とはこういう時のことだろうか、
二人が去った広い家で、ぽつんと残された私は、
整然と整えられたリビングのソファーで、ぼんやりと座り込んだ。
「何これ、うそでしょ?
あ、分かった、TVの撮影とかよね?
そ、
そうあれモニタリングとか?
やめてよもう、冗談じゃないから、出てきてよ、ねえ?」
けれども、振り絞るように放った言葉には、
誰も答えることもなくシーンと静まり返っていた。
暫くその状態だったが突然鳴り響いたインターフォンの音。
ピンポーン
「あ、やっぱり冗談だったのね」
勢いよくドアを開けると、
近所に開業しているペットクリニックの男性スタッフが立っていた。
「え、あの、いつもありがとうございます。
タロくんのエステ終わりましたのでお連れしました」
「あ、タロ……はい、どうも」
「一週間後は、フェラリアと狂犬病の予防接種の御予約が入っておりますので、
忘れずにご来店ください」
彼はぺこりとお辞儀をすると、
タロの前足をきゅっと握って、
「バイバイタロちゃんまたね」
と、笑顔で去って行った。
パタリとしまったドア。
私はそのまま動けずにいた。
夢じゃない、これって現実なの?
二人が去った広い家で、ぽつんと残された私は、
整然と整えられたリビングのソファーで、ぼんやりと座り込んだ。
「何これ、うそでしょ?
あ、分かった、TVの撮影とかよね?
そ、
そうあれモニタリングとか?
やめてよもう、冗談じゃないから、出てきてよ、ねえ?」
けれども、振り絞るように放った言葉には、
誰も答えることもなくシーンと静まり返っていた。
暫くその状態だったが突然鳴り響いたインターフォンの音。
ピンポーン
「あ、やっぱり冗談だったのね」
勢いよくドアを開けると、
近所に開業しているペットクリニックの男性スタッフが立っていた。
「え、あの、いつもありがとうございます。
タロくんのエステ終わりましたのでお連れしました」
「あ、タロ……はい、どうも」
「一週間後は、フェラリアと狂犬病の予防接種の御予約が入っておりますので、
忘れずにご来店ください」
彼はぺこりとお辞儀をすると、
タロの前足をきゅっと握って、
「バイバイタロちゃんまたね」
と、笑顔で去って行った。
パタリとしまったドア。
私はそのまま動けずにいた。
夢じゃない、これって現実なの?