花丸さんちのしあわせレシピ
「何のご用でしょう?」

「お母様、お家出られたんですってね?」

「ええ、誰かさんのおかげさまで」

「私のせいだけだと?
一番の原因の人がなぜ私を責めるのかしら?」

「はあ?私のせいな訳ないじゃないですか?」

「そう、自覚が無い人は幸せね。
 客観的に考えてごらんなさいよ?

夫への愛情を無視して、必死に育てたたった一人の娘が無職で、引きこもり。
母親として自信なくして現実逃避するなんて良くある話でしょ?」

「そんなこと……」


「こうなって見なきゃ気が付かないでしょうけど、
あなたはもう、養育して貰う期間はとっくに過ぎているのよ。
自覚持ちなさい。
独立して歩きだす時期はとうの昔にすぎているのよ。

……と言うことで、
荷物まとめてでていってくださいね?」

「は?」

「ここは売りに出すことにしました。
会社の資金が焦げ付いてね、
売りに出していたの。

高値で買い取ってくださる方が決まって、
来週見に来られるからそれまでに片づけておきたいの。

貴方が必要なものだけまとめてくれれば後は業者が入って引き取ってもらう算段はついているわ。

今週末までにまとめておいてちょうだいね?」

「無理です!私は何処へ行けば?」

「そうね、突然だったものね?
いいわ、私の実家、今はだれも住んでいないのだけど、
安く貸してあげるわ。

仕事はそうね、
家の派遣が紹介してあげるから、ちゃんと金銭的にも自活してください。

あの人、貴方のお父様には援助しないように言ってあるから、
頼れないからね?
それから当面の資金の100万円、これも私のお金よ。
無利子でいいわ貸してあげる。
毎月10万づつ返済してくださいね?」

青天の霹靂

私のせい?
私がダメな人間だからはママは出て行ったの?

私が?

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