花丸さんちのしあわせレシピ
「あ、そうそうお父様から伝言を預かっているわ。

前の職場で貴方を見染めた方が、お見合いを申し込んできたの。
前向きに考えて身を固めるようにとのことよ?」


「身を固める?」

「結婚よ、結婚!

1人じゃ生きられないパラサイトなんだから、
さっさと結婚してそちらに寄生して生きたらいいわ」

「あ、愛人のくせに!
人に結婚勧めてんじゃないわよ!
人の物に手を出してる女に寄生虫呼ばわりされたくない!

自分はそう、ハイエナじゃないの?

人の家庭を壊しておいて図々しいわよ」

売り言葉に書い言葉、
私だってそれを言ってはいけないことぐらい分かってる。

この人だけが悪いんじゃない。

パパがこの人を愛してしまった。

ママが離婚に応じなかった。

だけど、だけど、
私はそんな複雑な家庭環境で育った。

今の状況は貴方が大きな原因なんだから。

「ええ、そうよ。

私は結婚できない女よ。

だから、あなたはそうならないようにしなさいよ。

これ、渡したから。じゃ、帰るわ」

私の言葉に傷付いたのか
急に意気消沈して部屋を去って行った。

なによ、
あんな顔するなんてずるい。

泣きたいのは私なんだから。

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