花丸さんちのしあわせレシピ
------------

「ぎゃっ」

嘘でしょう?

おいて行った写真を見て愕然として取り落とした。

「な、何でっ……」

あの、セクハラパワハラ油ギッシュ上司じゃないか?

こんな話をパパは賛成しているというの?

私が仕事に行けなくなった原因だって事は誰にも言ってないけど、
ここまで私に付きまとうって言うの。

『オトヒメか、
今忙しいんだが……』


「パパっない考えてるの。
まさか本気じゃないでしょ?

あの家売るとか、
出てけとか、
仕事しろとか、
結婚とか」


『ああ、もう聞いたのか、さすが榊仕事が早いな。
そうなんだ、あの家売れたんだよ。

ママも了承したんだ。
財産はもう分与して、
お互い自由になることにした。

お前に親権のこともあるからまだ別れていないが、
いずれは離婚することになる。

心配するな、生活最低限の援助はしてやるから。
榊には内緒でな。
アイツうるさいから。

住むところは用意してやったろ?
そこで嫁に行くまでは暮らしていいって榊は言ってたぞ?

そうだ、見合い写真も見たんだろ?
まあ、顔とか歳とか色々あると思うが、
ああ見えて取引先のM社の跡取りなんだ。
お前のことがいたく気に入ってるみたいじゃないか?
いい話だ。
ウチも、そうすりゃ安泰だ。
どうせ自立なんてできないんだ、さっさと結婚して、親孝行してくれ』

「パパ本気で言ってるの?

私パパの一人娘なのに!」


『ああ、それな?
実は榊に子どもが出来てな。

どうやら男らしいんだよ。

喜べ弟だぞ!

この年で跡継ぎもできてなんか人生上向きだぞ。

後はM社の後ろ盾なんか手に入ったら、
うちの会社も--ブツッ』


もう聞いていられない、
あの女、パパを骨抜きにしやがって、
しかも弟?

跡取りができたから私はもう用済みってこと?

だから政略結婚?

いつの時代の話なんだ……時代錯誤甚だしい。


パパは新しい家族を作るためにをするつもりなんだ?

私たちが住んだ家、思い出、

そして娘の私までも。

今流行りの断シャリというやつ。
< 8 / 15 >

この作品をシェア

pagetop