real feel
……まだ目覚めそうにないな。
眠りは深そうだ。
このまま寝かしといてやろう。
時計を見ると、起きるにはまだ早い時間。
もう少しまひろの寝顔を堪能して、俺ももう一眠りするか。

それにしても気がかりなのは、まひろの体調だ。
本人はあまり自覚がないらしく、全く意に介さないようだけど。
どうしてこうも気にかかるのか?
部署異動や人事交流など、仕事環境が目まぐるしく変化したせいだろうけど。
本当にそれだけなんだろうか?
もともと身体は細い方だけど、ますます痩せたようだし。

同じ部署なら俺の目も行き届くのに、今の状態は正直歯痒くてたまらないのだ。
俺だってストレス溜まりまくってる。
こうして一緒に居られる時間が幸せだから、なんとか解消できてはいるけど。
この幸せだけは、手離す訳にはいかない。

…………体調不良。
ストレスが原因でないとしたら?
いや待て、まさか……な。
俺の中でふと、ある可能性についての疑問が芽生えてしまった。

隣で眠るまひろを、もう一度見つめる。
思い過ごしだろうか?
必死に頭を働かせる。

自分の身体ではないからハッキリしたことは言えないが、もうしばらく間が空いているということに気付く。
最後に告げられたのは、いつだ?
確か、旅行の少し前だった。
せっかくの誕生日祝いの旅行だから当たらないといいなと気にしていたのを覚えている。

『良かった!旅行の時は大丈夫みたいです』

なんて言ったあと、恥ずかしくなって真っ赤になってたな。
俺も内心ホッとしていた。
せっかくの旅行を心置きなく堪能できると。


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