real feel
まひろの誕生日は4月1日。
丁度、新年度のスタートと重なっている。

まひろの体調が気にかかりだしたのはその後、しばらく経ってから。
熱を出したり、食欲不振だったり、酔いつぶれたり。
気にかかってはいたものの本人が案外ケロッとしているもんだから、なんとなく流してしまっていたんだ。

本当は俺や家族に心配させまいと、無理してたのかもしれないのに。
これ以上、有耶無耶にしてはおけない。
ちょっとでも可能性があるのなら、ハッキリさせなくては。
俺とまひろにとっては重要なことだから。

昨夜の情事は、いつも以上にまひろが愛しくてたまらなかった。
熱く、愛に溺れた夜だった……。
俺はまひろとなら、どこまでだって堕ちる覚悟はできてる。
もしものもしも………そうだったとして、まひろの両親から認めてもらえなくなったとしても、俺は逃げたりしない。
真正面から堂々と認めてもらうように誠意を尽くすだけだ。



「……目が覚めたか?まひろ」

「おはようございます……主任」

なかなか起きないまひろに何度か触れるだけのキスをしたが、それでも起きない。
仕方なく目覚めのキスにしてはヘビーなやつをしてやった。

もしや、確信犯か?
それとも、眠り姫か。

「朝飯食べるだろ。できてるから」

まさか、今日も食欲ないとか言わないよな。

「主任が、作ってくれたんですか?」

なんだその、嘘だろっていう目は。
まひろほど上手くはないが、これくらいは。

「トーストとベーコンエッグに野菜も添えてあるけど。食欲は?」

「なんだか急にお腹が空いてきました!」

嬉しそうな笑顔を見ると、無理してる訳ではなさそうだな。
とりあえず朝飯を済ませてしまおう。

明日も休みなんだし、今日はゆっくり過ごせるはずだ。
大事な話をするには、ちょうどいい。
両親との話し合いも間近に迫っているからな。
それに備えるためにも、重要な時間となるだろう。



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