real feel
確かに、俺もいつ来てるのか把握できていない。
ダメだと拒否されたら、その時期なんだと思うようになっていた。
最近は拒否された覚えがない。
アレ以外ではNOと言われることもないし、お互いOKなら特に気にすることもなかった訳だ。

「最後に来たのはいつ?」

「あれは確か、旅行のちょっと前で。それ以来、ないです……」

「…………」

「…………」

これは、かなり妊娠の可能性が濃厚だとみえる。
しかし、事実を確かめないことには何も言えない。

「俺はお前の母さんから、これだけは守って欲しいと約束させられたことがあるんだ。それを守れなかったら結婚は認められないとハッキリ言われている。……避妊だけは怠るなってな」

「え!そんな約束を?私、全然知らなかった……」

「まひろ、これだけは言っておく。認められないと言われたからって簡単に諦めないから。必ず認めてもらうつもりだ」

普段から生理不順なら、尚更のこともっと身体を気遣うべきだった。

「まひろ、病院行こう」

ビクッと身体を揺らし、怯えるような表情を浮かべる。

「え、だって今日は……」

「土曜日だから午前中は診療してるだろ。今から準備して行けば十分間に合う」

「だけど、まだ心の準備が……」

そりゃそうだろうけど、早いとこハッキリさせた方がいい。
ここは俺が説得して、連れていくしかないな。

「平日は難しいけど、今日だったら俺が付き添うこともできるし。お前の身体のことが心配なんだよ。なるべく早く調べないとダメだ。な、まひろ」

大丈夫だ、お前は何も心配することはない。
俺がついてるんだから。
ひとりで抱え込む必要なんてないんだ。

しばらく黙りこんでいたまひろが、意を決したように俺をじっと見つめてきた。
そしてその愛しい唇がゆっくりと開かれた。

「主任、私の身体を心配してくれてありがとうございます。私…………」

< 108 / 221 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop