real feel

One-way ticket

──6月25日。

今日はイチにぃと菜津美の結婚式。
式場内のチャペルで人前式を無事に終えて、披露宴が始まった。
もうすぐ私の出番が来る……。
トイレ行って身だしなみチェックしてこようかな。
今日は会社の人もたくさんいるし、メイクをどうしようかすごく悩んだ。



『ねえ新師匠。今日はちゃんと師匠に一発OKもらえるようにするつもりだけど、会社の人も多いから主任の反応が怖いんだよね』

『だれが師匠だよ。あのな、翔さんからも注文つけられてんだよ!イチにぃとなつみんのお祝いの席だから、シュウにぃの時みたいな激カワな仕上がりにしてくれってな』

『いいの!?"笑顔なし愛想なし"じゃなくていいの!?』

『ああ、今日はいいんだってよ。ほら時間なくなるからさっさとやるぞ!』

『はいっ!師匠!!』



友人代表のスピーチなんて、私にそんな大役務まるかな?
自信はないけど、大事な親友からの頼みだから。
さて、行きますか!


新郎の友人代表のスピーチが始まってるけど、歓談中だから会場はざわついていてスピーチの内容はあまり聞き取れない。
イチにぃと菜津美には聞こえているのかな?
そういえば、菜津美から言われたことを思い出したけど、まさかね……。
司会者の方に挨拶して、それとなく確認する。

「その件でしたら、菜津美様より承っておりますのでご安心ください。新郎の御友人の方は少しくらいザワザワしている方が落ち着くとのことでしたので、このような感じですけど。蘭様の時には、お任せください!」

はぁ、本当だったんだ。
菜津美ったら用意周到なのね。
もう覚悟決めて、臨むしかない。
新郎の友人代表スピーチが終わり、司会者からの紹介を待つ。

「お次は新婦の友人代表スピーチですが、ご列席の皆様にお願いがございます。新婦の菜津美様が楽しみにされている御友人からのお祝いのスピーチですので、ご歓談中かと存じますがご配慮いただけますようお願い申し上げます」

< 118 / 221 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop