real feel
それもそうかも知れないけど。
自分がついこの間"妊娠してるかもしれない"なんてことがあったからかな。
もしあの時、妊娠していたとしたら……。
私たちどうなっていたんだろう。

「あのね、一弥さんは子供はすぐにできなくてもいいって。しばらくは2人きりの新婚生活も楽しみたいし、赤ちゃんは自然に任せてゆっくりでいいって……」

へぇーそうなんだ……イチにぃったら。
菜津美もよくも惚気てくれたものよね。

「それじゃ、もしかしたら、菜津美さんとまひろさんの赤ちゃん同じくらいの時期に生まれたりしてね」

美生さんが私から大地くんを抱き上げて、お母さんらしい愛情あふれる笑顔を見せてくれた。

「そうだったらいいね!だったらおねぇは早くお嫁に行かなきゃね。私からも主任さんに頼んでおかなきゃ!!」

そう言ったかと思うと、主任の元へと行ってしまった。
もう!余計なこと言わないでほしいのに……。

あ、そうだ。
さっき美生さんが言ったことが気になったんだった。

「ねえ、美生さんはまた北国に戻るんでしょ。あっちにはいつまでいるの?またこっちに戻ってくるんだよね」

「そのことなんだけど……。最初は夏くらいには戻るつもりでいたんだけど、事情が変わったの」

話を詳しく聞いてみると、シュウにぃは今仕事の引き継ぎ中らしい。
引き継ぎが済み次第、また北国に転勤することに決まったとのことだった。
まだこっちに戻って1年だけど、美生さんの実家も北国だし、いろいろ考えてシュウにぃ自ら希望したとか。
寒いの苦手なはずだけど、美生さんのためなのかな。
愛の力って偉大なのね。

「それじゃ、なかなか会えなくなってしまうのね」

「まひろさんも菜津美さんも、北国に遊びに来て!修一さんも喜ぶわ。それから、ずっと気になってたんだけど……」

美生さんはちょっと言いにくそうに口ごもって俯いてから、決心したように顔を上げた。

「まひろさん、菜津美さん。あの時は本当にごめんなさい。お義兄さんと佐伯さんにも迷惑かけてしまいました」

ああ、もしかして……。

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