real feel
店内で撮ったらしい写真を見て、あの時あの場所に待ち伏せていた誰かが私たちを監視していたんだろうと思うとゾッと寒気が押し寄せる。

「宮本課長や崎山本部長と今後のことを相談しないといけないわね」

「私も、その場に同席させてもらえませんか?」

何も悪い事なんてしていないから堂々としていいはずだし、当事者なんだから自分のことは自分でなんとかしないと。

「そうね……私も出来ればそうさせてあげたいんだけど。宮本課長が、蘭さんは巻き込まれただけだからって。残念ながらシャットアウトってことで」

え、ちょっとイチにぃ。
前の"M作戦"や"S作戦"も何も知らされずにいたのに。
またしても茅の外なの?

その夜、イチにぃに抗議の電話をかけた。

「ねえ、どうして私はシャットアウトなの?自分の問題でもあるんだから、私だって話を聞く権利くらいあるんじゃないの!?」

『ごめんまひろ。今から打ち合わせが入ってるからまたな。とにかくお前を巻き込んで悪かったと思ってる。それじゃ』

なにそれ!?

「ちょっと待ってよ!邪魔扱いしてくれて。それより奈津美は?今日は外出禁止で会いに行けなかったんだけど」

『大丈夫心配するな。奈津美なら今は実家に帰ってる。しばらく会社は休むから』

実家に帰った?
それで心配するなとは……。

「もう!イチにぃのバカ!!心配するに決まってるでしょ?だって」

『表向き、菜津美が俺に愛想を尽かして実家に帰ったって事にしてるけどな。実はお義母さんがちょっと入院したらしくて連絡があったんだ。それで1週間くらい実家に帰ってるって訳。じゃ本当に時間ないから切るぞ』

表向きってことは、ちゃんとデマだって分かってるってことよね。
良かった……。

いやいや、お母さんが入院ですって?

イチにぃとの電話を切った後、菜津美に電話をかけた。

『まひろ?大変だったね、怪文書。え?うちの母ならそんなに心配いらないから大丈夫よ。1週間有休をもらえたから、退院まで付き添えそうだし。シャイニングでは私が一弥さんに愛想尽かして実家に帰ったって設定らしいから、来週出社する時がちょっと気まずいよね』

「ごめんね菜津美。黙ってイチにぃと2人で会ったりして……軽率だったって反省してるよ」

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