real feel
声がしたので顔を上げると、笑顔の男性と目が合った。

「……あれ?どこかでお会いした事ありましたっけ」

「それはないと思います。……あ!S・Factoryって!」

思い出した!
RYUZAKI工房の貴浩部長が話していた会社だ。

「うちの会社知ってるんですか。私、S・Factoryの佐伯(さいき)と申します」

そう言って、名刺を渡してくれた。

「私は、㈱シャイニングの蘭と申します」

私も続けて名刺を渡して挨拶した。

「シャイニングの。じゃあもしかして、兄さんから聞いたのかな?うちの会社の事」

兄さん……?

「RYUZAKI工房の龍崎貴浩さんから聞いた事があるんです。龍崎さんとはお知り合いですか?」

「ああ、そっちの兄さんだったか。シャイニングにも俺の兄がいるんですよ。佐伯翔真って、ご存知ですか?」

「さっ、佐伯主任ですか、知ってます!」

知ってるどころか『私たち恋人同士なんです』なんて、こんな場所では言えるわけない。

「私、広報に異動したばかりなんです。昨年度までは教事1課にいましたので、佐伯主任とも一緒に仕事してました」

「そうだったんですか。すみません作業の邪魔しちゃいましたね。明日よかったらいろいろとお話しませんか?うちは今回初参加ですし、シャイニングさんと繋がりができたら嬉しいです」

ニコニコと笑顔を絶やさない人だな、佐伯主任の弟さん。

「はい是非!私も参加するの初めてですので、宜しくお願いします」

作業を中断してしまったため、再度パンフレットに集中する。
明日が楽しみになってきた……。

まさか、この場で"S・Factory"という会社に出会えるとは、思ってなかった。
そして、佐伯主任の弟さんの会社だったなんて、知らなかったし。

あとで、主任に電話してみよう。
主任、ビックリするだろうな……。



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