real feel

Secret meeting spot  ※佐伯翔真視点

資料室、だと!?
俺との約束破ってなにやってるんだ……まひろ!
なんで俺に連絡もしないで……。
さっきイチにぃから言われた言葉を思い出した。

『おい、お前こんなときに何やってんだ!携帯も切ったままで』

そうだ、携帯の電源落としたままだった。
それじゃ俺と連絡取れるわけがないな。
俺からも連絡出来ずにいたというのに。
しかし電源を落としたのはイチにぃからの指示だぞ。
……いや今はそんなことはどうでもいい。
資料室にとりあえず急がなくては。

役員室のフロアから出てエレベーターに乗るつもりが、なかなかやってこない。
待つ時間ももどかしく階段を駆け下りる。
資料室に居るらしいのは分かったけど、誰かと一緒ってことだろう。
一体誰がまひろを資料室に連れ込んだというんだ。

一番に思い浮かぶのは、小久保拓実…。
しかし小久保はイチにぃが常務室で追い込んだんだろうし。
それじゃ、誰が……?


資料室のあるフロアへ到着。
ここはシャイニング・セクションのフロアでエレベーターに近い方から経理部、総務部、人事部が同じフロア内にある。
そして一番奥にあるのが"密会スポット"と社内で噂される、資料室だ。

定時後も残業中の社員たちが部屋の中や廊下を行き交っている。
総務部で鍵を借りた方がいいのか?
しかしまひろたちが今も資料室にいるのなら、鍵はかかっていないだろう。
とにかく一刻も早く資料室へ向かうべきだ。

そう思ってる時に限って誰かが邪魔をしてくるんだよな。
人事部の前を通りかかった時に、同期である海東が部屋から出てきたところ早速捕まってしまった。

「あ!佐伯!!やっぱりまだ社内に残ってたな」

「海東、悪いが俺はいま忙しいんだ。話ならまたの機会にゆっくり」

相手している訳にいかないんだ、すまん海東。

「いいや、逃がす訳にはいかない。ここで俺に会ったのは運が悪かったと諦めるんだな」

ウザいな……。
それどころじゃねえっていうのに。

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