real feel
第2話

異業種交流会

──4月16日。

交流会の前に佐伯主任に連絡を取りたかったのに。
昨夜の事がショックで、あの後主任に電話することはできなかった。
主任からもかかってきていない。

どうして女の人が電話にでたのか?
私がかけ間違えたのかと思って番号を確かめたけど間違いなかった。
ちゃんと登録してある主任の番号だった。

もう一度かけた方がいいのかなとも思うけど、やはり勇気がでない。
また昨夜の女性が出たら?
佐伯主任、どうして電話くれないの?

こんな不安を抱えたままで、交流会に参加しないといけないなんて、正直言ってちょっとキツイ。
朝から何度も携帯の画面に主任の番号を表示させてみるものの、ボタンを押すことができずにいる。

もう、いい!
だって私は昨日かけたもの。
話ができなかったのは私のせいじゃないもの。
開き直り、携帯を閉じて会場に向かうべく荷物を持って部屋を出た。



交流会では、様々な業種の企業が集まっているため、まずは簡単な紹介があって、その後は自由に懇談できるというスタイルだった。

県内から集まっているとはいえ、邦都市の企業がやはり多い。
今までシャイニングと繋がりがなかった企業とこうして面識を持つことが出来るのは、会社にとっても私にとっても有意義な事だ。

特に広報に異動になったからには、シャイニングという会社をよりたくさんの企業の方に知ってもらうために、精一杯アピールしなきゃ!
メイクもバッチリだし、ここは笑顔を絶やさず明るく挨拶して、とにかくコンタクトを取っていこう。

「蘭さん、でしたよね?」

昼食休憩が終わって、午後の部が始まってすぐに話しかけてきたのは、S・Factoryの佐伯さん。

「はい、昨日はお疲れさまでした。午前中はみなさん勢いが凄かったですね……」

そう、みんな今回の交流会には並々ならぬ気合が入っていると見えて、アピール合戦が繰り広げられていたのだ。

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