real feel
広報でまひろのバッグを引き取り、そのまま資料室へ。

なんだなんだ!?
やけに人が多いし、騒がしいぞ。

「あっ!宮本課長いいところに。佐伯と蘭さんのことなんですけど」

「海東。あの2人がどうかしたか?」

「2人ともノーザン申請出してるのに、まだ退社せず……」

海東が何か言いたげに資料室の方を見た。
その視線を追ってみると、人だかりが入り口を塞いでいる。

「あれ……ドアは?」

外開きのドアが見当たらない。

「佐伯がぶっ壊しました」

…………マジか!?
こりゃ想定外の大事になってるな。

「海東、ノーザンの件は俺に預からせてくれないか。俺が処理しておくから。今回はやむを得ない事情でな、頼む」

「えっ、でも……」

まだ食い下がってくるかと思ったその時。

『……俺の女に手を出すんじゃねーよ!!』



………………おい。
今のは間違いなく翔の声だろう。
やっぱり木原になんかされてたのか?まひろ。

それにしても、やってくれたな。
こんなに注目を浴びてる中で堂々と恋人宣言か。

「宮本課長……。それじゃお任せします。ご自由にどうぞ」

海東は急に引き下がり、人事部へと帰っていった。

さて、このバッグをまひろに手渡したらもうひと仕事だな。

あのドアはノブが壊れているということを総務に報告しておいたのに。
まだそのままだったとは。
総務の怠慢だろ。
しかし佐伯に非がないわけでもないからな。
始末書を書かせるってことで手を打つとしよう。

まったく世話の焼ける……。

これまで手のかかるどころか、教事1課始まって以来の業績を上げる頼れる部下だったからな。
今回は多目に見てやるさ。
上司として可愛い部下のために、いくらでも動いてやるよ。

さて、そろそろだな。
翔とまひろがどんな顔して俺の目の前に現れるのか……。
楽しみだな!

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