real feel
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「私、営業から追い出されて拓実さんのこと諦めようと必死だった。お望みどおりに翔と元サヤってのもいいかなって。だけど翔からは全く相手にされなかったし」
きっと寂しかったんだろうな。
だから翔真にちょっかい出したりしたんだよね。
そのおかげで私は酷い目に遭ったけれど。
「私には拓実さんしか愛せないって分かったの。彼も結婚していても私のことを愛してくれていた。やっぱり私と拓実さんって結ばれる運命だったのよ。そうに決まっているわ」
私は前から疑問に思っていたことを聞いてみた。
「あの……。高柳さんはわたしと佐伯主任が付き合っていることを知っていたじゃないですか。どうしてそれを小久保課長に言わなかったんですか?」
「ああ、そのことね。もうどうせシャイニングも辞めるし、貴女と話をするのも最後だろうから教えてあげるわ」
ずっと不思議だった。
小久保課長は最後まで私と宮本課長が"ただならぬ関係"だと信じて疑わなかったようだし。
高柳さんはあの怪文書にも加担してたはずだけど……。
「それは、せめてもの罪滅ぼしよ。翔……ううん、佐伯主任への償いのつもりだったの。彼は私に拓実さんとの不倫をやめろって、俺だけにしろって言ってくれた。真剣になってくれたのに、そんな彼を裏切ってしまった。その時は私の本命は拓実さんであって、佐伯主任とは寂しさを紛らすための関係でしかなかった」
それから高柳さんのことを拒絶するようになったんだよね。
同じ部署になってもそれは変わらなかった。
「拓実さんは本当にズルい男だった。常務の娘と結婚しても私との関係はずっと続いていた。いつかは私だけを愛してくれるって信じていたけど、彼は離婚する気なんてなかったのよ。だって常務派でいればある程度の地位を約束されたようなものだし。私を営業から教事1課に移動させた時に『本気で邪魔になったんだ』って思った。それでも関係を断ち切れなくて苦しかった。本当はね、常務のためにいろいろ動いていたのも止めたかったの。だけど結局あの怪文書にも協力してしまったし。蘭さんにも嫌な思いをさせてしまって、ごめんなさい。だからせめて蘭さんと佐伯主任の関係については知らないふりをしたの。これでいいかしら?」
「でも、良かったですね。これで高柳さんの望み通りじゃないですか。小久保課長についていくんですよね」
上村課長は人事交流で広報に来た高柳さんのことを『鍛えがいがある』って気に入っていたのに。
次の人事異動で高柳さんを広報にスカウトしたいって意気込んでいたけど、叶わなくなって残念がっていた。
「ちょっとは迷ったのよ。広報での仕事が私に合ってるんじゃないかって初めて夢中になれそうだったし」
「私、営業から追い出されて拓実さんのこと諦めようと必死だった。お望みどおりに翔と元サヤってのもいいかなって。だけど翔からは全く相手にされなかったし」
きっと寂しかったんだろうな。
だから翔真にちょっかい出したりしたんだよね。
そのおかげで私は酷い目に遭ったけれど。
「私には拓実さんしか愛せないって分かったの。彼も結婚していても私のことを愛してくれていた。やっぱり私と拓実さんって結ばれる運命だったのよ。そうに決まっているわ」
私は前から疑問に思っていたことを聞いてみた。
「あの……。高柳さんはわたしと佐伯主任が付き合っていることを知っていたじゃないですか。どうしてそれを小久保課長に言わなかったんですか?」
「ああ、そのことね。もうどうせシャイニングも辞めるし、貴女と話をするのも最後だろうから教えてあげるわ」
ずっと不思議だった。
小久保課長は最後まで私と宮本課長が"ただならぬ関係"だと信じて疑わなかったようだし。
高柳さんはあの怪文書にも加担してたはずだけど……。
「それは、せめてもの罪滅ぼしよ。翔……ううん、佐伯主任への償いのつもりだったの。彼は私に拓実さんとの不倫をやめろって、俺だけにしろって言ってくれた。真剣になってくれたのに、そんな彼を裏切ってしまった。その時は私の本命は拓実さんであって、佐伯主任とは寂しさを紛らすための関係でしかなかった」
それから高柳さんのことを拒絶するようになったんだよね。
同じ部署になってもそれは変わらなかった。
「拓実さんは本当にズルい男だった。常務の娘と結婚しても私との関係はずっと続いていた。いつかは私だけを愛してくれるって信じていたけど、彼は離婚する気なんてなかったのよ。だって常務派でいればある程度の地位を約束されたようなものだし。私を営業から教事1課に移動させた時に『本気で邪魔になったんだ』って思った。それでも関係を断ち切れなくて苦しかった。本当はね、常務のためにいろいろ動いていたのも止めたかったの。だけど結局あの怪文書にも協力してしまったし。蘭さんにも嫌な思いをさせてしまって、ごめんなさい。だからせめて蘭さんと佐伯主任の関係については知らないふりをしたの。これでいいかしら?」
「でも、良かったですね。これで高柳さんの望み通りじゃないですか。小久保課長についていくんですよね」
上村課長は人事交流で広報に来た高柳さんのことを『鍛えがいがある』って気に入っていたのに。
次の人事異動で高柳さんを広報にスカウトしたいって意気込んでいたけど、叶わなくなって残念がっていた。
「ちょっとは迷ったのよ。広報での仕事が私に合ってるんじゃないかって初めて夢中になれそうだったし」