real feel
「麗花さんは元々私の病院に通われていてね。私の精神科でずっとカウンセリングを続けていたんだよ。蘭先生も一緒に来られていたし。それで、麗花さんとは離婚が成立した後できちんとお付き合いをさせていただいているんだ」

え、お付き合い?
2人って医者と患者だったんだよね。
それから恋人同士になったっていうことなの?
なんか、あまりにも上手くいきすぎてないかな。

「……そうなんですか。父と離婚してからもう本宮先生と。良かったですね麗花さん。父じゃなくても大丈夫なんじゃないですか。もう本当に何も心配ないですね」

じゃあどうして、父だったの?
関係を持ったのも、麗花さんが仕組んだって言ってたよね。
どうして……。

「私、本当に自分の都合だけで酷い事をしてしまったと思っているわ。あの時の私は奪う事でしか幸せを掴めないと思っていたから。だから、本当に今は心から謝りたいと思っています。ごめんなさい、まひろさん……」

「どうして、父だったんですか?他の人ではダメだったんですか?貴女のせいで私の家族は……」

今更言っても仕方ない事かも知れないけど、どうして私たち家族が苦しまなければならなかったのか。

「まひろさん、貴女って何にも知らないのね?私ばかりが悪者みたいだけど、私だって被害者だったのよ」

「麗花さんが、被害者?……どういうことですか」

「私と真行さんはもともと許嫁だったの。真行さんは10歳も年上だったから、私が20歳になったら結婚させるってお互いの両親の約束だった。私も父から言い聞かされていたし、そのつもりだった。真行さんが大学を卒業して北国を離れてからも、私はお嫁に行く時を北国で待っていたの。だけど真行さんは私の知らない場所で、恋人を作ってた。私という許嫁がいるのに、その恋人との間に……赤ちゃんができたって。北国を離れた彼のことを心配した父が、20歳まで待たず16歳になったら結婚をと時期を早めようと考えていた矢先の出来事だった。まひろさん、貴女の存在が私の幸せを奪い去ったのよ……」

…………知らなかった。
幸せの略奪者は、私だったなんて。

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