real feel
本音スイッチ
──4月29日。
佐伯主任の元カノ、高柳さんとの直接対決から1週間。
出張に行ってた主任は日曜日に帰ってくるはずが、トラブル発生のため月曜日の朝に帰ってきてそのまま仕事へ。
それから1週間は私も主任も仕事が忙しく、ゆっくり話をする事ができなかった。
そして今日、やっとこうして向かい合うことができている。
「主任、私は負けませんから!」
唐突に宣言した私に、目を丸くしキョトンとして首を傾げる主任。
なかなか見られないかも、レアだなと心でシャッターを切る。
「負けないって?」
「高柳さんですよ。私が出張に行っている時に一緒に過ごしたそうですね」
「ああ、休日出勤の時のことか。俺は自分の仕事をしてただけだ。あいつが出勤してくるとは知らなかったし」
ほら、やっぱり高柳さんが嘘を吐いている。
だけど、どこまでが嘘なの?
「手伝ってもらったんじゃないんですか?仕事のあと、お礼にって食事したらしいですね」
主任の目が鋭く私を捕らえる。
「は?なんでそうなるんだ。あいつが俺のために手伝えるようなことなんて何もねえよ。邪魔になることはあってもな。お礼?ふざけるな!ていうか、いつあいつから吹き込まれた」
そう、この1週間お互いに忙しくて電話やメールしても、この話題を切り出すことはできなかったのだ。
こうして面と向かってじゃないと、主任の顔を見ながらじゃないと話せないって思ったから。
「先週末です。主任が出張に行った土曜日に、高柳さんから呼び出されました。駅近のカフェで話をしたんです。私、携帯の番号なんて教えた覚えないのに。電話かかってきたから」
「なんで番号をあいつが……あ」
気付きましたか、主任。
言いたくないけど、確かめないと。
「高柳さん、見たんじゃないですか?主任の携帯を。主任の携帯には登録してあるでしょうから。私の番号」
一瞬、主任の目が泳いだように見えたのは、気のせいではないはず。
だけどどうして高柳さんが主任の携帯を触る事ができたのか、それが分からない。
「実は、休日出勤して帰った後で気が付いた。会社に携帯を忘れてきたってことに。気付いてすぐに会社に戻ったけど、机の上にも何処にもなかったんだ」
佐伯主任の元カノ、高柳さんとの直接対決から1週間。
出張に行ってた主任は日曜日に帰ってくるはずが、トラブル発生のため月曜日の朝に帰ってきてそのまま仕事へ。
それから1週間は私も主任も仕事が忙しく、ゆっくり話をする事ができなかった。
そして今日、やっとこうして向かい合うことができている。
「主任、私は負けませんから!」
唐突に宣言した私に、目を丸くしキョトンとして首を傾げる主任。
なかなか見られないかも、レアだなと心でシャッターを切る。
「負けないって?」
「高柳さんですよ。私が出張に行っている時に一緒に過ごしたそうですね」
「ああ、休日出勤の時のことか。俺は自分の仕事をしてただけだ。あいつが出勤してくるとは知らなかったし」
ほら、やっぱり高柳さんが嘘を吐いている。
だけど、どこまでが嘘なの?
「手伝ってもらったんじゃないんですか?仕事のあと、お礼にって食事したらしいですね」
主任の目が鋭く私を捕らえる。
「は?なんでそうなるんだ。あいつが俺のために手伝えるようなことなんて何もねえよ。邪魔になることはあってもな。お礼?ふざけるな!ていうか、いつあいつから吹き込まれた」
そう、この1週間お互いに忙しくて電話やメールしても、この話題を切り出すことはできなかったのだ。
こうして面と向かってじゃないと、主任の顔を見ながらじゃないと話せないって思ったから。
「先週末です。主任が出張に行った土曜日に、高柳さんから呼び出されました。駅近のカフェで話をしたんです。私、携帯の番号なんて教えた覚えないのに。電話かかってきたから」
「なんで番号をあいつが……あ」
気付きましたか、主任。
言いたくないけど、確かめないと。
「高柳さん、見たんじゃないですか?主任の携帯を。主任の携帯には登録してあるでしょうから。私の番号」
一瞬、主任の目が泳いだように見えたのは、気のせいではないはず。
だけどどうして高柳さんが主任の携帯を触る事ができたのか、それが分からない。
「実は、休日出勤して帰った後で気が付いた。会社に携帯を忘れてきたってことに。気付いてすぐに会社に戻ったけど、机の上にも何処にもなかったんだ」