real feel
主任の誕生日も知ってるでしょ、付き合ってたのなら。
っていうか、付き合ってた時は元カノの誕生日にしてたんだ!
過去にヤキモチ妬いたって仕方ないけど、いい気はしない。

「主任の誕生日だったらバレバレじゃないですか。それ絶対に高柳さんが操作して着信履歴を消したんですよ」

何故かそこで若干頬を赤く染めて、私をチラ見したあとそっぽ向いたままの主任がボソッと呟いた。

「いまは違う。俺の誕生日じゃなくて、番号変えたから。あいつはその番号知らないだろうと思うけど」

ふうん……。
私だって知りませんよーだ。



「ただいま!留守番させて悪かったな、翔。お、まひろももう来てたのか。おっとじゃあまだ帰ってこない方が良かったか?邪魔みたいだな俺たち。なあ、菜津美」

「こんにちは!今日はありがとうございます、佐伯主任。まひろもありがとう!久し振りにゆっくり話せるって思って楽しみにしてたの」

イチにぃと菜津美が帰って来た。
そう、ここはイチにぃのマンション。

5月1日、菜津美の誕生日に入籍して、ゴールデンウィーク中に新居に引っ越しする予定。
それで今日は引っ越しのための片付けを手伝って、夜に誕生日と入籍のお祝いで食事会をする事になったのだ。

片付けの作業をしながらも、私はまだ主任に聞きたいことがあった。
今聞くべきではないのかも知れない。
でも、ここで聞いておかないとまたいつ聞けるか分からない。

「主任、電話の話題で思い出したんですけど。去年のいつだったか、RYUZAKI工房の貴浩部長から私の携帯に電話がかかってきたことがあるんです。主任が番号教えたんですよね?どうして事前に断りもなく勝手に教えたりしたんですか」

「……なんの話だ?俺は教えたりした覚えはないぞ」

う、嘘っ!?

「え、だって、私にかける前に佐伯主任と電話で話して聞いたって!」

少し思案したように沈黙したあと、思い出したように口を開く主任。

「あ、あれか。確かに会社に電話がかかってきて『蘭さんの携帯番号を教えてくれないか』って言われた。断ったけどな。俺が教えるとでも思ってるのか?心外だな」

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