real feel
「……分かった。俺も面倒がって祥平や母親となるべく会わずにいたかったのかもしれない。大人げなかったかもな。これからはもう少し歩み寄れる様に努力するよ。離れて暮らしていても佐伯家の長男だからな、一応。今後の事についてもきちんと話し合うようにする。それで、いいか?」

やっぱり主任はちゃんと解ってくれた。
私も嬉しくなって、ちゃんと主任の目を見てしっかりと頷いた。

「そういえば主任も私に話す事があるって言ってましたよね。まだ時間ありそうだし、今からでも……」

「残念ながら、今日は時間切れ。話もいいんだけど、今はもっと大事なことがあるから。……来て」

そう言いながら私の手を取ると、しっかり指を絡ませながら握りしめてきた。
手を繋がれたまま2階の主任の部屋まで連行される私。

どうして主任の部屋に?
いままでリビングで話していたのに、わざわざ移動するなんて。

「ドア、閉めてくれるか」

言われるままにドアをきちんと閉めると、主任はカーテンをさっと引いてから……私をぎゅっと抱きしめた。

「……しゅ、主任?」

「もう限界。まひろ不足だ」

言い終わるか終わらないか分からないくらいのタイミングで唇を奪われた。
熱い熱いキスに心もカラダも溶かされていく。
息も絶え絶えになりながら、主任の身体に必死にしがみついて……。
そんな私をしっかりと支えるように抱き寄せた主任が、そのまま私の身体をベッドに優しく押し倒した。
組み敷かれそうになって、慌てて起き上がろうとする。

「ちょ、ちょっと待ってください!主任!!」

ムードぶち壊しなのは分かっているけど、言わずにはいられない。

「…………なんだ?」

「あの、シャワー浴びたり、とか。するでしょ?いつも」

そう、いつも主任に抱かれる前には必ずシャワー浴びてから……。

「悪いけど、今日は却下」

そう一言で片付けると、また組み敷いてくる彼。

「え、あの!だってさっきの片付けとかで汗かいてるしきっと……」

「俺は汗なんかかいてないから大丈夫だ」

「私が大丈夫じゃない!だって綺麗じゃない身体じゃ……」

「まひろはまひろだ。そのままのお前を今すぐ抱きたい。もう黙れ」

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