real feel
また深い口づけを惜しみなく与えられ、これ以上抵抗する事なんてできなくなった。
もう……そんな強引な主任も、好き。

キスを交わしながらも、私の服のボタンに手をかける主任。
そのまま1つずつ丁寧に外されていく。
こうやってきちんとした洋服を着ている時にコトが始まるって今までにないことだ。
お泊まりだとリラックスしたルームウェアだったりするし、こんな風にボタンを外されて服を脱がされるなんて、恥ずかしい。

私にとっては主任しか知らないし、主任こそが私の全てだけど……主任は?
大人だし、経験豊富そうな余裕がいつも感じられ、私を安心させるようにリードしてくれるけど。
元カノの存在が頭にちらついてしまうのは、どうしてだろう。
いつもなら熱情に飲まれて余計なことを考えられなくなるのに…。

ボタンを外し終えた主任の手が、優しく洋服を脱がせようとする。
そのスマートで躊躇しない動作に、ドキドキと胸が高鳴ると同時にモヤモヤした得体の知れない何かが私の思考を邪魔してくる。

私の知らない誰かと、こんな風に……?

知らない人ならまだいいけど、高柳さんという元カノを私は知っている。
過去は変えようがないし、主任を信じていない訳じゃない。
だけど、どうしてこんなにも不安が付きまとうんだろう?
自分で脱ぐのにも少し苦労するほどピタピタのスキニージーンズも、いつの間にか脱がされている。

「まひろ、今何考えてた?俺のこと?それとも……俺以外のことか」

不安な気持ちが表情に出ていたのかも知れない。

「主任……。私も、主任不足なんです。一緒にいても、キスしてもらっても、抱かれても……。その瞬間や余韻に浸っている間は幸せです。でもまた直ぐ会いたくなるし、触れ合いたいって思ってしまうんです。主任の元カノにも嫉妬するし、誰よりも愛されたいって思ってしまうんです……」

主任はただ黙って私の言葉に耳を傾けてくれている。
こんなこと恥ずかしくて今まで言えたことなかったけど……。
私だって本音スイッチが入る時があるのだとしたら、それは間違いなく今だ。

「だから、他の誰にも与えられない特別が欲しいって、思ってしまうんです……」

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