real feel

シャイニング的、人事交流

──5月1日。

今日は菜津美の誕生日。
昼休みにイチにぃと2人で婚姻届を出しに行くそうだ。
"有田菜津美"から"宮本菜津美"になるんだね、とうとう。
良かったね……菜津美。
おめでとう!!
来月末の結婚式にはめいっぱいお祝いしてあげなきゃ!
楽しみだな……。

「蘭さん、ちょっといい?来週からの人事交流についてなんだけど」

上村課長から呼ばれてミーティングルームへ。
ゴールデンウィーク明けの来週から、私は別の部署に1ヵ月の間だけ臨時に異動となるのだ。

今年度から試験的に導入されることになった、シャイニング的"人事交流"
対象者は今年度人事異動になった人。
だから私もその中の1人なのだ。

このことは人事異動の辞令と同時に知らされたことだった。
当然のことながら驚きを隠せず、宮本課長にも説明を求めたほどだ。

「5月って言えば、異動して1ヵ月ですよ。どうしてそんな時期に?」

「まだ完全に慣れていない時期だからいいんだってよ。ま、ここで文句言った所でどうにもならないんだから」

「もし、今年度から導入されていたとしたら、宮本課長と佐伯主任も対象だったんですよね」

「残念ながら俺たちは対象外。役職者は免除されるんだよ。つまり、蘭さんのような"平社員"だけ」

「酷い差別ですね。パワハラで訴えてもいいですか?」

「文句を言いたいなら、早く主任になれるように努力するんだな。でもどっちが早いかな?昇進と結婚……」

そうしてとうとう目前に迫った"人事交流"
ミーティングルームで上村課長から詳細について説明を受ける。

「蘭さんの今回の臨時配属先は、営業部1課。あちらでは小久保課長からの指示を仰ぐようにね」

営業1課……。
小久保課長って言えば、確か高柳さんの不倫相手だったはず。

< 62 / 221 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop