real feel
今日は残業を予定していたから、シフトは外してもらってる。
昼休みに佐伯主任からメールが来た。

『今日残業するんだろ?終わったら電話でもメールでも連絡しろよ。待ってるから』

デートのお誘いかな!
最近では私の残業に合わせて主任も時間調整してくれることが多い。
部署が離れた今でも、ノーザンは一緒の日に申請しているし。
ノーザンの日は私の固定シフトで、蘭家での食事会が定番。
今月はいつがいいかな……。

『20:00上がりの予定です。終わり次第、連絡しますね』

丁度よかった、人事交流のことも話しておかないといけないし。

午後からは上村課長のお供で外出することになった。
広報は社外での打ち合わせや、宣伝活動、イベント参加など、行動範囲が広い。
外に出る時間が増えると、それに比例して残業も多くなるというのは仕方がないことなのか。
佐伯主任と一緒に外勤してた昨年度が妙に懐かしく感じてしまう。



──19:50

課長に今日の報告書を提出して、後片付けを始めたとき。

~~~♪

携帯の着信バイブ音が響いた。

「はい蘭です」

『俺だけど。もう終わりそうか』

オレオレ詐欺?
なんて言えるはずないけど。

「終わりました。いまどちらに?」

『時間があったから家に帰ってきた。会社の駐車場に車停めてるから、下に降りたら携帯鳴らせよ』

「はい。それでは後で」

課長が近くにいるから、素っ気ない会話になってしまう。

「課長、お先に失礼します」

「お疲れ様。……今からデート?」

素っ気ない会話でもバレバレ。
課長は知ってるから、いいけどね。

「食事に行くだけですよ。それでは、お疲れ様でした」

あんまり突っ込まれないうちに退散退散。
主任を待たせちゃ悪いから早く……なんて。
私がただ早く会いたいだけだけど。

駐車場に向かいながら主任の携帯を鳴らすと、ちょうどタイミング良くシルバーの車が私の目の前に停まった。

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