real feel
「あの、課長。他のメンバーは……」
個室に入ってから、とうとう我慢できなくなって聞いてみた。
さっきからどうも様子がおかしい。
課長はタクシーの中で見せた怪しげな笑顔で言った。
「ここまで来て何言ってるの?最初っから2人きりだと言えば来なかっただろう、蘭まひろさん」
私、もしかして……嵌められた?
「こういう場所での密会っていうのがどういうものか、そろそろ君も知っておいた方いいんじゃないかって思ってね。これも営業での修行の一環だとでも思えばいいよ」
「どういう意味ですか……」
「今は分からなくても、そのうち分かるさ。ところで蘭さんって、本当に彼氏いないの?」
またこの話題。
何度聞かれたって答えは同じなのに。
「いませんよ。どうしてそんなにしつこいんですか課長」
ついイラついてしまった。
『しつこい』なんて言ってしまって、機嫌を損ねたかな?
「蘭さんって、気が強そうだね。まだ若いのに仕事も出来るし、俺の好みのタイプだよ。彼氏がいないなんて勿体ないな」
今日も課長は指輪をしていない。
好みのタイプだなんて、冗談でしょ勘弁してほしい。
「でも課長は結婚されてるんですよね?奥さんがいるのにそんなこと言っちゃダメじゃないですか」
「あれ?もう知ってるの。指輪外してたのに意味なかったな。どうせ朝川か池田だろう。でも、蘭さんはそういうの気にしないタイプかと思ったけど」
そういうの………?
そういうのって、どういうの?
「まあまあ、せっかくなんだから食事をゆっくり楽しもうか」
こんな高級料亭なんて今まで縁がなかったし、こんな個室で小久保課長と2人きりなんて、どうしたらいいんだろう。
佐伯主任に連絡もできていないし。
「あの、課長。お食事が運ばれてくる前に、お手洗いに行ってきてもいいですか?」
「どうぞ、行っておいで。場所は分かるかな」
「大丈夫です。直ぐに戻りますから」
なんとか抜け出せた。
トイレで電話しよう……。
簡単に見つかると思ってたけど、高級料亭っていうものをよく知らない私にとっては何処に何があるのか分からず、ただウロウロと歩き回っていた。
すると向こう側からやって来た2人連れと鉢合わせに。
個室に入ってから、とうとう我慢できなくなって聞いてみた。
さっきからどうも様子がおかしい。
課長はタクシーの中で見せた怪しげな笑顔で言った。
「ここまで来て何言ってるの?最初っから2人きりだと言えば来なかっただろう、蘭まひろさん」
私、もしかして……嵌められた?
「こういう場所での密会っていうのがどういうものか、そろそろ君も知っておいた方いいんじゃないかって思ってね。これも営業での修行の一環だとでも思えばいいよ」
「どういう意味ですか……」
「今は分からなくても、そのうち分かるさ。ところで蘭さんって、本当に彼氏いないの?」
またこの話題。
何度聞かれたって答えは同じなのに。
「いませんよ。どうしてそんなにしつこいんですか課長」
ついイラついてしまった。
『しつこい』なんて言ってしまって、機嫌を損ねたかな?
「蘭さんって、気が強そうだね。まだ若いのに仕事も出来るし、俺の好みのタイプだよ。彼氏がいないなんて勿体ないな」
今日も課長は指輪をしていない。
好みのタイプだなんて、冗談でしょ勘弁してほしい。
「でも課長は結婚されてるんですよね?奥さんがいるのにそんなこと言っちゃダメじゃないですか」
「あれ?もう知ってるの。指輪外してたのに意味なかったな。どうせ朝川か池田だろう。でも、蘭さんはそういうの気にしないタイプかと思ったけど」
そういうの………?
そういうのって、どういうの?
「まあまあ、せっかくなんだから食事をゆっくり楽しもうか」
こんな高級料亭なんて今まで縁がなかったし、こんな個室で小久保課長と2人きりなんて、どうしたらいいんだろう。
佐伯主任に連絡もできていないし。
「あの、課長。お食事が運ばれてくる前に、お手洗いに行ってきてもいいですか?」
「どうぞ、行っておいで。場所は分かるかな」
「大丈夫です。直ぐに戻りますから」
なんとか抜け出せた。
トイレで電話しよう……。
簡単に見つかると思ってたけど、高級料亭っていうものをよく知らない私にとっては何処に何があるのか分からず、ただウロウロと歩き回っていた。
すると向こう側からやって来た2人連れと鉢合わせに。