real feel
「色白は北国育ちなんだから仕方ないだろ!雪の降る日に生まれたんだからな。それに……」

ああ、それで『雪生(ゆきお)』って名前なんだ。

「それに、蘭さんには彼氏がいるんだから」

……は?
何を言ってくれてるの迫田さん!
間が持たないから更にビールを飲む。

「えー!!蘭さんって彼氏いるんだ。いいないいな~。ねえ誰?同じ会社?教えなさいよ!年下のくせに生意気だな~」

朝川さん、彼氏いないんだ。
顔がカァーッと熱くなってきた……。

「年下って……。同期なんだからいいじゃない!」

…………シーン。
朝川さんと池田さんと迫田さんが固まって私をジッと見たままフリーズ。

「ん、なに?なんか変なこと言ったかな私……」

「いやいやいや!!大丈夫それでOKだよ。やっとタメ口きいてくれたね蘭さん」

池田さんがにっこり微笑んでいた。
朝川さんと迫田さんもフリーズが解けたようで笑っている。

……なんだか私、酔ってきたみたい。

「話は戻るけど、やっぱり高柳さんは佐伯主任を落とすと思うわ」

池田さんが真面目な顔で言った。
やけに自信ありげなのが気になった。
何か根拠でもあるんだろうか。

「私の彼、人事部で佐伯主任とは同期なの。付き合ってた頃の2人を知ってるみたいなんだ。佐伯主任は高柳さんと結婚も考えていたらしいからね」

け、結婚……?
そんな話は聞いていない。
そんなことまで私に話す必要なかったから?
聞かせたくなかったんだよね。
胸がザワザワする……。
手持ち無沙汰になってしまうので、ビールが進む。

「そうかなぁ。佐伯先輩は簡単には堕ちないと思うけどな俺は」

< 92 / 221 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop