Ｆｉｒｓｔ Ｓｎｏｗ

Ｆｉｒｓｔ Ｓｎｏｗ

北海道の冬は…早い。

まだ１１月中旬だっていうのに札幌の街に流れるクリスマスソング。

どこもかしこも１ヶ月も前からお祭り騒ぎ。

視界に入る所すべて「メリークリスマス」の貼り紙。


カップルたちが寄り添い合い、肩を並べ楽しそうに歩く姿をなぜこんな休みの日に見せつけられなきゃいけないのだろうか。

…なんて嫉妬も少なからず抱えながら横目で早歩きを続ける。



「寒っ…よりによってこんな日に…。でも、仕方ないか」




あまりの寒さに真っ暗な空を見上げて小言が漏れる。

その日は普段より一層寒い日で凍えそうな体を抱きしめながら歩いていた。



先程まで降っていた雪が止んだばかりの地面には薄っすらと白い絨毯が広がっている。

気にしつつ、気をつけながら一歩一歩踏みしめて歩く。



この日のために下ろし立てのベージュのノーカラーコート。

首に巻いたスヌードは意味をなさないほど冷たい夜の風が頬や首筋を打ち付ける。

吐息は真っ白く、私の口から吐き出されるたび夜の街へとすっと消えていく。


夕方だっていうのに外はもう完全に陽が落ち札幌の街はキラキラとした外灯やイルミネーションで輝きを放っていた。