First Snow
信号待ちに止まって、現在の時刻を確認しようとスマートフォンを取り出した。
「ヤバイ…もうこんな時間」
大通の美容室でヘアセットを終えて待ち合わせ場所へと向かっていたが、自分が思っていたよりものんびり歩いていてしまったようだ。
マズイ、さすがに今日ばかりは待ち合わせに遅れるわけにはいかない。
信号が青に変わって慌てて手に持っていたスマートフォンを上着のポケットに仕舞おうとしたが…
あろうことか手がかじかんで滑り落ちてしまった。
「あっ…!!」
お願い、画面だけは割れないで〜!
なんてスローモーションに見えて地面に向かって落ちていくスマートフォンを見つめながら内心ハラハラ。
車が多く横切る大きな交差点の横断歩道は雪も溶けきって地面丸出しのそこへ私の大事なスマートフォンはカシャンと音を立てて打ち付けられた。
手を伸ばした時にはもう間に合わなかったのだ。
これから楽しいことしに行くはずなのにこんな目に合うとは…
深く溜息をついて拾おうとすると、スッと目に前に大きな手が現れ私のスマートフォンを地面から拾い上げた。
「落ちましたよ」
「あっ…ありがとうございます…」