First Snow
親切にも前から歩いてきた人が拾ってくれたようだ。
慌てて体勢を立て直しスマートフォンを受け取ってお礼を言い顔をあげて…
目を大きく見開いた。
それと同時にピクリと動かなくなった私の体。
体が凍りつくとはこういうことを言うのだろうか。
「え……」
「っ…、じゅん……?」
向こうも私の顔を見るなりビックリしたように目を見開いて、でも一瞬嬉しそうに口角を上げたようにも見えて…
驚いたような上擦った声で私の名前を呼んだその人。
目と目があった瞬間雷が落ちたようなビリビリと体に電気が走って何も考えられなくなった。
それくらいの衝撃だった。
これは……何かの間違いであってほしい。
「………っ」
「え、あ待っ……」
呼び止めるような声が聴こえたがそんなの無視。
私はあからさまにその人から顔を背け、スマートフォンを握りしめその場から走り去った。