First Snow

最悪だ。なんて日だ。

なぜこんなおめでたい日に自分は全くおめでたくないのだろうか。

ハァハァと息を切らして全力疾走。

これでもか、というくらい何も考えられなくてただただ駅へと続く道を走り続ける。

今あったことを忘れ去りたい…そんな風に思いながら。



全力で走ったのにアドレナリンが放出して疲れ知らずの体は駅についた途端安心したのか、外気の冷たい空気がビリビリと肌を刺す痛みが増してきた。

せっかくヘアセットしてもらったのに…崩れてないといいけど。

待ち合わせしていた札幌駅。

駅構内へと駆け込むと待ち合わせ場所に指定されていたオブジェの前には沢山の人が集まっておりその空間を見て変な安堵感を抱いた。



「あれー純花…?」


ハァハァと息を切らし咳き込みながら名前を呼ばれた方へと振り向くと…



「よかった…茜、」

「ちょっと!なんでそんなに息切らしてるの?!大丈夫?」


運動不足の体にはだいぶ堪えたようでゲホゲホと咳をしながら、落ち合うことが出来た親友にもたれ掛かる。

よくこんな人通りの多い駅の待ち合わせスポットで私を見つけてくれたものだ。



「この数分で色々あって…それで、走って…」

「わかったわかった。とりあえずもう少しで式始まっちゃうし急ごうか」


束の間の休息。

落ち着け、と言わんばかりに私の背中を摩り目的地へと向かうのだった。

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