First Snow

駅から数分歩いた先にある大きなホテル。

今日は私と茜が仲良くしていた大学時代の友人の結婚式だった。

案内板を確認して挙式会場へと急ぐとロビーにはすでに挙式から参加する人が集まっており見知った顔もちらほら。


「茜!純花!こっちこっち!」


共通の友人が私たちを見つけるなり大きく手を振っていた。

「久しぶりー!元気だったー?」なんて他愛もない会話から始まるあの頃の思い出話。

久しぶりに会ったとしてもあの頃の楽しかった頃に戻れる友人達。



私の頭の中から先程のことなんてスッポリ抜け落ちていた。

だが、それは思ってもみない形で思い出すこととなる。



「おー!!来たぞ、イケメン!」

「久しぶりだなー、いつこっち帰って来たんだよ」

「連絡ぐらいちゃんとしろよなー」


ワイワイ楽しくロビーで話し込んでいると、後ろから男の人たちの楽しげな声が広がる。

見た感じ、新郎の友人といったところだろうか。

きっと向こう側の人たちも久しぶりの再開なんだろうな…、なんて思ってたまたま視線を上げた瞬間。

また心臓が止まりそうになった。





「……えっ」


なんで、いるの………?


男の人なんて、この会場にも沢山いる。

それなのに、どうして見つけてしまうのだろうか。


よく見たら結婚式用のドレスコードに身を包み新郎側の友人達と楽しそうにお喋りを始めた。

嘘でしょ…そんな偶然ある?

確かにお互い地元同じだから会わない確率のが低いのかもしれないけれど…

ドクンドクンと跳ねる心臓を抑えながら固唾を飲み込んだ。

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