欲しがりな幼なじみ


大したことのない言葉しかあげられない。

うぅ、ごめん、竹内くん。



「本当にそう思う?」

「うん……」

「でもさ、」




ギシッと、スプリング音が鳴る。

ゆっくりと起き上がった竹内くんは真っ直ぐに私を見た。




「長い時間隣にいたせいで、中々踏み出せない一歩、てのもあるよね」


「"踏み出せない一歩"……?」



眉を寄せる私に、竹内くんは笑った。




「俺の気持ちを伝えたら、その答えがYESでもNOでも、もう元の関係には戻れないでしょ」




仮に付き合えたとしても、もしかしたら別れてしまうこともあるし

断られたら、気まずくなるかもしれない。




「どっちにしろ今の関係が終わってしまうのなら、自分の気持ちは伝えない方がいいんじゃないかって、思う」

< 104 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop