欲しがりな幼なじみ
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朝、7時40分
玄関の扉を開けて、私の姿を捉えた由良くんは、驚いたように目を見開いた。
「おはよう、由良くん」
今日も寒いねぇ、とマフラーに口元を埋める。
由良くんの眉間に皺が寄る。
それもそのはず。
こうして由良くんと一緒に登校しようとするのは約2週間ぶりなのだから。
「……何してんの、お前」
予想通り、由良くんは不機嫌そう。
そんな彼に私は笑いかけた。
「球技大会も昨日無事に終わったし、良いタイミングかなぁと思って」
「何だよ、それ」
「"これまで通り"、一緒に学校行こうよ」
私の言葉に、ぴくりと肩が揺れる。
鋭く私を睨んでくる由良くん。