欲しがりな幼なじみ
それから、短く息を吐いた由良くんは私を置いてスタスタと行ってしまった。
「ちょっと、」
慌ててその背中を追う。
何とか同じエレベーターに乗れてホッと一安心する私。
「……絶対、嫌だから」
由良くんの小さな声は、聞こえない振りをした。
満員電車に乗り、学校までの道のりを歩く。
靴箱に着いたところで、私は由良くんに向かって話しかけた。
「なんか、私注目されてない?」
学校の最寄り駅に着いてから、ここに来るまで色んな人にチラチラと見られている、ような気がする。
最初は由良くんのことを見ているのかなって思ったけど……違う。
だってほら。
皆んな、私と目が合うと慌てて逸らすもの。