欲しがりな幼なじみ
恐る恐る、隣にいる由良くんを見る。
眉間に皺を寄せて、明らかに不機嫌モード。
これは……また警戒心がないと説教を食らわれるコースだ。
「ゆ、由良くん、あの、違くてね。キスなんかしてないからっ
する理由もないし、何かの勘違いだから」
慌ててそう言う。
すると、由良くんは私の頬を少し強くつねった。
「何でそんな必死になって否定すんの?」
「あ……」
そうだ。
確かにこんな噂は放っておけばいい。
こんなに盛り上がっているのは今だけで、次期に落ち着くはず。
……私としたことが。
由良くんに誤解されたくないと、思ってしまったんだ。
「どうでもいい」
短くそう言った由良くんは、少し乱暴に私の前髪を払った。