欲しがりな幼なじみ
「いいから」
不機嫌そうに言う彼に、少しだけしょんぼりしてしまう。
由良くんの足が止まった場所は、屋上へと続くドアの前だった。
ここから上へはいけないし、屋上のドアも開かないからこんなところに滅多に人は来ない。
「なんでわざわざこんな場所に?」
「別に。なんでもいいだろ」
「まぁ、そうなんだけどさ」
階段に座り込む由良くんの隣に、わたしもちょこんとお邪魔する。
「で?」
「え?」
「なに、聞きたいことって」
「あぁ……」
そうだった。
わたし、これを聞くために由良くんに会いに来たんだった。
由良くんの方を向いて、わたしは口を開いた。
「由良くんって、彼女いるの?」