欲しがりな幼なじみ
私と目が合った竹内くんは、口をパクパクと動かして「ごめん」と申し訳なさそうに言った。
「ていうか、何で誤解されてるんだろうね。本当にキスしたわけじゃないんでしょう?」
「たぶん……あれだ」
竹内くんの目の中にゴミが入ってしまって、
それを確認しようと顔を寄せてもらった時に誰かに見られたんだ。
保健室の扉は閉まっていたから、
グラウンド側の窓からだと思う。
そのことを志保に説明すると、「なるほどねー」なんて苦笑いをされた。
「で、どうするの?」
「どうもしないよ。いつも通り過ごしてれば噂されなくなると思う」
ちゃんと否定はするけれども。
だって、本当にキスしてないし。
否定し続ければ、誤解だって解けるんじゃないかな。