欲しがりな幼なじみ
───……
「朝から不機嫌な理由って、もしかしてあの噂のせい?」
隣の席から声がかかる。
スマホから視線を移すと、今来たばかりなのか、萩原が机の上にカバンを置いているところだった。
「おはよう、由良くん」といつものように挨拶をして、彼女は自分の席に座る。
俺の隣の席に。
「不機嫌じゃない」
スマホをブレザーのポケットにしまって、頬杖をついた。
「そう見えないけどなー」
俺の言葉にクスクスと笑う萩原。
「佐々木さんのことになると、由良くんは分かりやすいね」
「……何のことだか」
仮に、俺が不機嫌にみえているのなら
その理由は、あの噂なんかじゃない。
『"これまで通り"、一緒に学校行こうよ』
ほんと、むかつく。
また逃げんのかよ。
『……由良くん、には、好きな人がいるの?』
むかつく。
お前以外に、誰がいると思ってんの。