欲しがりな幼なじみ
■幼馴染とケーキとキス
甘い匂いが家庭科室に充満する。
今日の3.4限は調理実習。
「上手く焼けるかなー」
「大丈夫でしょ。ちゃんと分量通りに入れたし……」
オーブンの前にしゃがみ込み、中で焼いているカップケーキを志保と一緒に眺める。
チョコチップのカップケーキだ。
私も志保も甘党だから、焼き上がるまでまだかまだかと楽しみでしょうがない。
「これ、由良くんにも渡すの?」
「うん。そのつもりー」
「ていうか、由良くんとは最近どんな感じ?」
どんな感じと聞かれても……
「これまで通りの、ただの幼なじみですけれど」
なんていう私の答えに、「なぁにそれ」とジト目をする志保。