欲しがりな幼なじみ
「由良くんのこと意識してたでしょーが。あれはどうなったの?」
自分の膝の上で頬杖をついて、志保からカップケーキへと視線を移した。
「あれは、ただの私の勘違いだった」
「そんな訳ないじゃん。何隠してるのよ」
うぐ、やっぱり志保は鋭い。
鋭いから、最近は由良くんの話を極力避けてきてたのにっ。
「何も隠してないってば。それに、相変わらず私は竹内くんと噂されている身なので……」
のらりくらりと志保の質問を避けると、いいタイミングでオーブンが鳴った。
「カップケーキ!焼けたよ志保!」と大袈裟に言ってみる。
甘党の志保は、私からカップケーキへと注目してくれた。
よ、よかった。