欲しがりな幼なじみ


「で、なにが分かんないの」



勉強机でもベッドの上でもなく、由良くんが座ったのはローテーブルの前だった。

そこに教科書を広げて、私は英文と問題文を指さす。



「ここ、がよく分かんなくて」



頬杖をついてその部分を流し読みする由良くん。

……由良くんは、頭がいい。


定期試験はいつも上位だし、こうやって私の課題も難なく教えてくれる。



「お前って、こーいうのほんと苦手な」



英文を読みながら、ふ、と意地悪く笑う。

そんな由良くんに反論しようと口を開くと、「シャーペンとって」なんて。


……むかつくなぁ。



教えてもらっている手前、口に出しては言わないけれども。

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