欲しがりな幼なじみ
立ち上がった私は、勉強机に置いてある由良くんのスクールバッグのチャックを開けた。
ペンケース、ペンケースっと……
その瞬間、カサっと手に当たった見覚えのあるラッピング袋に、目を見開く。
「え……」
思わず、口から溢れでた。
今日の調理実習でもらった透明のラッピング袋。
その中身はカップケーキで。
私が作ったものじゃない。
……嫌になる。
それを見た瞬間、萩原さんの顔を頭の中に思い浮かべた自分に。
息を吐いて、なんとか口角を上げた。
萩原さんは、由良くんのことが好きなんだ。
そして頑張り屋さんだと竹内くんはそう言っていた。
私は、由良くんのただの幼なじみなんだから
何も言わない。