欲しがりな幼なじみ
彼は、いつものように柔らかく笑った。
「いいよ。どっちかっていうと、自分のためにやったことだから」
その言葉にはてなマークを浮かべながら、私は靴箱を後にした。
モタモタしている内に、あの2人は学校から出たみたい。
駅に向かって走る。
竹内くんは電車通学だから、きっと萩原さんも駅を使うはず。
巻いていたマフラーを少し乱暴に外した。
冷たい空気がツンと鼻に刺さる。
けど、走っているおかげで体は温かい。
ジンワリと汗をかき始めた頃に、やっと駅に着いた。
改札を抜けてから、ハッとする。
萩原さんは何番線の電車を使ってるんだろう……!
その瞬間、スマホがぶぶっと震えた。
画面に表示されているのは竹内くんの名前。