欲しがりな幼なじみ
由良くんのこと、ただの幼なじみだなんて、思ってない。
ホームに着いた電車の風で、髪が揺れる。
「……私も、由良くんのことが好き」
私の言葉を聞いて、萩原さんは小さく笑った。
「っあ、でも、違う!萩原さんに由良くんのことを諦めて欲しいってわけじゃなくて……」
「ふふ、うん」
クスクスと笑いながら私の話を聞いてくれる。
そんな萩原さんに少し泣きそうになった。
「その、私も、頑張るからっ」
「うん」と萩原さんは言った。
「教えてくれてありがとう」って。
「やっと佐々木さんの本当の気持ちが聞けた」
「え?」
電車の扉が開いて、中から数人が降りていく。