欲しがりな幼なじみ
「確かに由良くんはモテてたかもしれない」
バレンタインデーにはたくさんチョコをもらってきていたし、きっと何回か告白もされてると思う。
「由良くんの周りに可愛い子だっているのに、どうして彼女いないんだろう」
「いやね、幼なじみのアンタが知らないのに、他人のわたしが知ってるわけないでしょう」
バカだねー、なんて言う志保に苦笑いをこぼす。
まぁ、わたしはそんなことよりさ。
「昨日、由良くんに久しぶりに名前を呼ばれました」
「まぁたそれ?"バカ結佳"ってやつでしょー。もう聞き飽きたー」
廊下を歩きながらげんなりする志保。
いやでもね、わたしにとってはかなり大きな出来事なんだよね。