欲しがりな幼なじみ
次の日もその次の日も、まるで何もなかったかのように、
結佳の態度は幼なじみに対するものと変わらなかった。
これまで通りの、関係性。
それなのに、
バレンタインデーでチョコを貰ってくると、
放課後女子に呼び出されて一緒に帰れないと、
やっぱりあの時と同じ悲しそうな顔をした。
幼なじみだから、少しの表情の変化もよく分かった。
極め付けは、高校2年の夏。
風邪で寝込んだ時に、結佳が看病をしに来たことがあった。
熱のせいで頭がうまく働かなかったせいか、
アイツの、結佳の本当の気持ちを知りたいと思ったせいか。
『男の部屋に無警戒にあがるのは、どうなんだよ』
なんて、気付いたらそんなことを言っていた。