欲しがりな幼なじみ
俺の言葉に一瞬目を見開いて、それからアイツは笑った。
『由良くんは私の幼なじみじゃん。何の心配もしてないよ』
ガツンと、その時は頭を殴られたような痛みが走った。
『意味、分かんないよ……』って、アイツは前にそう言ったけど
俺の方が意味分かんねーんだよ。ばか。
「由良くん」
授業と授業の間の休み時間。
自販機へ飲み物を買いに行こうと廊下を歩いていると、名前を呼ばれた。
振り向くと、アイツとよく一緒にいるショートカットの女子がいた。
名前……確か……
「壽(コトブキ)」
「わ、名前知っててくれてるんだ。意外」
クスクスと可笑しそうに笑う壽。