欲しがりな幼なじみ
「いかないで……」
ベッドから起き上がって、腕を伸ばす。
俺の手首を掴んで、結佳がそう言ったから。
「誰の、誰のところにも、いかないで」
泣きそうな顔
弱々しい声
全く力の入っていない手
『由良くんは私の幼なじみじゃん。何の心配もしてないよ』
……俺は、お前にむかついてる。
俺が他の奴に取られそうになるのを分かりやすく悲しむくせに、
それを自覚しようとしないから。
独占欲はあるのに、
それを自覚しようとしないお前が、むかつく。
『由良くんって、彼女いるの?』
『由良くんは、結局わたしのことが嫌いなの?好きなの?』
俺だけ、俺ばっかり結佳の言動に振り回されて──