欲しがりな幼なじみ
呆れたような、意地悪な笑顔でもない。
優しく笑うその顔を、私は久しぶりに見た。
「なんでまた泣いてんの?」
止まらない涙を、由良くんは丁寧に指ですくう。
「あ、だって……由良くんが笑うから、」
「バカじゃねぇの」
そう言いながら、ギュッと私を抱きしめる。
「熱で全部覚えてなかった、とか無しだから」
「わ、忘れるわけない……」
私のその言葉に、由良くんはまた笑う。
「っ、ん」
2度目のキスは、とても深くて。
何度も何度も、角度を変えて落としてくるから。
私は由良くんにしがみつくので精一杯で。
「結佳」
と、由良くんが私の名前を呼ぶから、
「好きだよ」
って、言ってくれたから。
心が満たされて、私はまた泣いた。