欲しがりな幼なじみ
マフラーを首に巻いて、机の上に置いていたスクールバッグを肩にかける。
「行ってきます」と声をかけて、私は玄関のドアを開けた。
毎朝7時40分
家を出た私が足を止める場所は、隣のドアの前。
私は人差し指でインターフォンを押して、
大事な彼の名前を呼ぶ。
「由良くーん、出ておいでー」
そして待つこと30秒
ガチャリと音を立てながらドアを開けて、
由良くんは不機嫌そうな顔で私を見下ろした。
「おはよう、由良くん。一緒に学校行こ」
「お前、朝からうるさい」
由良くんはそう言って、眠そうにあくびをした。
エレベーターに乗って、駅までの道のりを歩く。
すぐ隣にいる由良くんに少し照れる。