欲しがりな幼なじみ
……まぁ、俺と佐々木が噂になっても、世菜は普段通りだったけど。
「あれ……」
授業が全て終わった放課後、
意味もなく教室でぼーっとしていると、見慣れた姿を見かけた。
俺のクラスを通り過ぎるその姿に、慌てて後を追いかける。
「世菜、」
白いマフラーを首に巻く世菜は、階段を降りようとしているところだった。
「司……」
俺の声に振り向くその表情は、少しだけ暗い。
「帰らないの?」なんて無理して笑う世菜に、なんて声をかければいいのか分からなかった。